立ち込めた霧をきって

手探りに掻き分けて行く

肌に触れる草露が

音も立てず生命を伝えている

 

あの川を越えたなら

あなたの苦手な季節も

切り裂く様な喧噪も遠くに

 

戻らなくて良い

今の二人は何も怖くないから

手を引いていて

形の無い世界でもう迷わぬ様に

 

生命を燃やし尽くすには

あまりにも虚しくて

浮ついて生きるには

あまりにも障壁が高すぎた

 

息をすることにさえ

意味を見付けたがった

蓋をしたら今度はそれを捨て去り

 

迷わなくて良い

あなたとならもう何も怖くないから

離さずにいて

逃げ場の無い世界でもう崩れない様に